「熱量」と「関係性」
「どうやってコミュニティをアクティブにするかを考えたい」
最近、いくつかの異なる場で似たようなテーマに突き当たるケースが増えた。一定の人数は既に集まっていて、その場のユーザー体験を良くすることがリテンションや新規参加者に寄与し、将来的にコミュニティや事業の価値向上に通じる。そうした与件がおおむね共通する。
事業活動の一環としてこうした「コミュニティ」を捉えると、予測可能性や継続性・再現性を高められる仕組みや指標の設計を考えたくなる。それはそれでもちろん大切であることは間違いない。
ただ、自分自身のユーザーとしての体験や、過去に社団法人を運営したときの感覚を思い出すと、「コミュニティ」において最も重要なアセットは「熱量」と「関係性」にあるように思う。どちらも正確な計測は難しいし、直接的に操作・介入できる類のものでもない。
共有される意図や目的(パーパスと呼んでも良い)があることは大前提だ。そのうえで、コンテンツ内容、仕組み、情報流通、体験設計など、あらゆる取り組みは「熱量」の総量を増やし、「関係性」のネットワークの濃度を高める。
抽象化すれば、一般的に「組織」と呼ばれる対象を扱うことと大きくは違わない。ただ、人の流動性の高さ、関与度の濃淡などの前提条件が違う中では、熱量と関係性の依存度と影響力がより高くなるのではないか。その仮説を持ちながら、具体的な仕掛けを繰り返してみたい。
令三社/山田裕嗣
リサーチ
Viisi:全員が納得する給与モデルの決め方
オランダのViisiは金融系企業でありながら個人成果によるインセンティブが存在せず、職種別の「勤続年数による固定の賃金上昇」がデザインされている。社内の評価や報酬に向き合うのではなく、安心感高く、顧客のために向き合うことができる状態が作られている。
※ 2月25日(火)の夜にこの記事の著者Marc-Peterを招いたイベントを開催予定です(以下参照)
記事・イベント
Our Messy Journey 〜 僕たちの「でこぼこ」ジャーニー Vol.1
どんな組織も進化の過程はさまざまで、失敗もたくさん経験し、常に発展途上です。
「答え」でなく「どんな悩みや壁と向き合い、乗り越えようとしているか?」を浮かび上がらせたい。そんなイベントシリーズの第1回。
今回のゲストはオランダのViisiでホラクラシーを活かして、自律的な組織づくりと平等な給与モデルの策定に携わったMarc-Peterです。
世界15カ国の実践者から学ぶ先進的な組織づくり:Corporate Rebels グローバルミートアップ参加報告会
2024年11月にスペインで開催された15ヶ国100名の実践者が参加するCorporate RebelsのGlobal Meet-up。現地で参加した3名それぞれから「実体験」を語ってもらいました。
自然経営を再考する~自然経営をJinen Managementとして海外へ~
「JINEN Management」(自然経営)を改めて考えるためのイベントを1月6日に開催。立ち上げの代表理事である武井浩三さんと令三社の山田、青野の3人をはじめ、当時の活動に関わった人も含めてざっくばらんに振り返りました。
コンテンツ
vol.19 究極のジョブ型、ハリウッド・アーティストの「正社員でも時給制」という働き方 | 「組織」を考えるメディア Organize
エール篠田さんとのPodcast。前回のLisa Gillの書籍にある「大人 - 大人関係」を踏まえつつ、篠田さんが以前に対談したハリウッドの日本人アーティストの働き方について紹介してもらいました。
書籍
『木を見る西洋人 森を見る東洋人』(ダイヤモンド社)
「日本的」な経営や組織とは何か?2018〜2020年頃はそのことばかり考えていた。「西洋vs東洋」という二項対立は大味すぎるものの、対比を通じて「差異」に目を向けるには都合が良い。
色々と目を通した中で、この本の内容は自分自身の思考を整理するうえで有用な補助線になった(そして原著が英語なので海外の知人にも紹介しやすい)。この本を読んだことで、組織を「動的な現象」として捉える、という仮説に思い至った。