「経営者」という世界観
「経営者」は英語にしづらい言葉だ。
役割としてのTop Managementや肩書としてのPresident, CEOだけでは含意しきれないニュアンスがある。前者は「経営幹部」、後者は「社長」「代表(取締役)」のほうが日本語では近いかもしれない。
個人的な感覚で言えば、「私は『経営者』である」という言葉を語るときには、その組織の全面的な責任を負うこと、それが仕事としての役割に閉じず、より全人格的な強いコミットが暗黙的に含まれている雰囲気を感じる。
稲盛和夫氏であれば「高い志を掲げる」「私利私欲を捨てる」「誰よりも努力する」ことが必要だと語り、
松下幸之助氏は総合芸術としての経営では「確たる経営理念を持つ」「実践を通じて体得する」ことの重要性を語り、
本田宗一郎氏は「1%の成功のために挑戦と失敗を繰り返すこと」だと語る。
スタートアップの世界でも、アメリカ(特に西海岸?)では創業者は事業の成功見込みがなくなるとさっさと会社を閉じて次のチャレンジを始めるが、日本では同じ法人で「歯を食いしばって」でも続ける、という対比構造を耳にする(ファクトでは語りづらいが)
もちろん単純な良し悪しの話ではないし、この違いが実務的に大きなインパクトを及ぼすこともない。ただ、根底におけるこうした微細な捉え方(広く言えば世界観)の違いは、その上に乗せるあらゆる取り組みに少しずつ影響を与える。
令三社/山田裕嗣
リサーチ
記事・イベント
The Death of the CEO: How Basetis Rewrote the Rules of Work
昨秋に訪問したバルセロナのBasetis(400名のIT企業)に関する紹介記事。タイトルにあるように、創業者でCEOのMarcは徹底して権限を移譲し、自律的な組織へと作り変えている。
(Basetisについては、年始に行ったウェビナーでも訪問した印象を少し触れた)
HR-ON’s Self-Management Approach: Redefining HR Solutions and the Future of Work
こちらは昨年の春に来日したデンマークのHR tech企業であるHR-ON。従業員第一を掲げ、従業員向けのマニフェストを公開している。ちなみにこれを公開したことで、デンマーク国内のすべての主要メディアから取材されたそうだ(それほどデンマークの働き方は「進んでいない」のだとCEOのAliは語っていた)
コンテンツ
vol.22 いま話したい、ダイバーシティ&インクルージョン(1)| 「組織」を考えるメディア Organize
3月8日は国際女性デー。3月のOrganizeは2回にわたって、実は篠田さんど真ん中のテーマなのにまだ扱っていなかった「ダイバーシティ&インクルージョン」について。
vol.25 杉田篤史さん(前編)ハーモニーって、どういう状態? | 『まず、ちゃんと聴く。』ラジオ
「ハーモニーって、どういう状態だと思いますか?」
アカペラグループINSPi(インスピ)リーダーで、現在はハーモニー×コミュニケーションのワークショップも行っている杉田篤史さんから、櫻井さんにそんな問いが投げられました。
書籍
『リジェネラティブ・リーダーシップ』
「持続可能な社会経済システムへの本格的な移行を進めるためには表面的な手法のみならず、1人ひとりのものの見方や内面の変容が同時に問われていくだろう」
訳者前書きで書かれているこの言葉の通りに、この本は「外の世界」と「内の世界」における統合がテーマになっている。書名の通りに、リジェネラティブな世界に向かう上での「リーダーシップ」が扱われる。
2つの世界の両方に目を向けることの必要性は深く共感する。そのうえで、自分が取り組みたいことは、その両者を「人の集団」の営みを通じて一貫性を持って「つなぐ」ことにある、と改めて感じる。