手放されない持ち場
リジェネラティブ、ゼブラ企業、B Corp、エフェクチュエーション、場所と組織、学習する組織、成人発達理論、新制度派経済学、対話、ソース原理、ホラクラシー、フロー理論、ヒューマノクラシー、マイクロエンタープライズ。
この2-3週間だけでも色んなキーワードに触れた。それぞれに深遠な世界観があり、それを深く探求し続ける人がいる。
「そこに深く潜るのは、自分じゃなくていいかな」
尊敬できる人と出会うと、その領域からは手を放す。そのパターンを繰り返してきたのかもしれない。2017年4月から、自分が知らない「組織」の捉え方、つくり方を探索し続けてきた。その中で、未だにこだわっていることは、「自分以外の誰か」を見つけられなかった領域なのかもしれない。
未だに残っているのは、大きく2つある。
1つは「組織づくり」という行為そのもの。どれほど専門性を深めようとも、その専門性は、「目の前の状況に対する万能解」を確約しない。実践する当事者の立場では、どの専門性を活かすかという「選択」そのものに晒され続ける。その「選択」と、その次に来る「実践」。その行為の精度と強度を前進させたい。
もう1つは、「日本的」な経営。自然(じねん)経営というキーワードを5年間探求し続けたことも、河合隼雄を通じてティール組織を理解しようとしたことも、結局はここに通じている。「日本」も「経営」も、自分以上に語れる人はたくさんいる。それでも、この2つを現場の手触りにこだわり続けて取り組む人は、今のところ出会えていない。
令三社/山田裕嗣
リサーチ
HR-ON:働き方の未来を再定義するセルフマネジメント
「従業員マニフェスト」をWebサイトで公開しており、そこには「管理ではなく信頼」といった価値観、リモートワークのような柔軟な働き方、子どもの病気などに対応する休暇の自由などが明記される。創業者のAliとは昨年の来日時に話す機会があり、このマニフェストを公開した際には、デンマークの主要メディアがこぞって取材に訪れるほど注目を集めたというエピソードが印象的だった。
Basetis:CEOを「消す」ことによる働き方の書き換え
2009年に創業されたBasetisは、社員数が増えた2015年にCEOを含むヒエラルキーを廃止。以後、チーム主導で柔軟かつ自律的に働く体制を築いてきた。意思決定や給与は分散され、全社員で支え合う仕組みに進化。昨年の秋にバルセロナにあるガウディの建物内のオフィスに訪問したとき、彼らの文化が体現されている空間をとても感じた。
イベント
YeLL Meetup 2025 @Tokyo
「ソース(=個人)とイニシアチブ(≒組織)って、長期的にどういう関係が自然なのか?」そんなことが扱われる(ような気がする)エールのイベント。
全体の場作りとしても、参加者自身が「自らのイニシアチブ」に目を向けやすくなるような、そんなオーガナイズがされるはず。
記事
山田裕嗣氏に聞く組織と代謝 | 『図解 採用入門 「理論と実践」100のツボ』対談
生命的な組織観、前川製作所、西田幾多郎、失敗の本質、松岡正剛。壺中天の坪谷さんにお声がけ頂き、「組織」に関することを好き勝手に語ってきた対談シリーズ。全3回、全力で坪谷さんと盛り上がった内容。
Japan Self-Management Meetup!国内のホラクラシー&セルフマネジメント実践者の集い|Holaspirit創業者来日記念企画
「ホラクラシー実践者縛り」という、とても珍しいイベント。Holaspiritの創業者であるPhilippeの来日に合わせ、30名ほどが全国から一同に介し、ホラクラシーの実践者としてのリアルを相互に語る機会になった。
書籍
『システムの科学』
原題は『The Science of the Artificial』。自然物と人工物を対比しながら、きわめて広範な人工物に宿る「システム」を徹底して掘り下げていく。その対象は経済システム、デザイン、社会計画、企業組織と多岐にわたる。あとから気付いたが、『オーガニゼーションズ』という組織に関する秀逸な一冊も同じ著者(ハーバート・サイモン)だった。どれほどの抽象度で世界を捉えるとこういう思考になるのか、想像がつかない。
ちなみに、『エフェクチュエーション』を著したサラスバシーは、ハーバート・サイモンの弟子だということをつい最近知った。たしかに冒頭に名前が載っていた。