組織の二重性
「概念」としての組織。
「人の集団」としての組織。
組織に関わる自分の実感を紐解くと、この2つの相反する側面に向き合い続けてきた。この二重性を矛盾なく一貫させる、正確には「なるべく一貫するように近づけ続ける」ことこそが、自分における「組織づくり」の根底の姿勢だと言える。
「概念」としての組織は、実在しない。組織に関わる人達が共有している「共同幻想」とも言えるものだ。ただ、この虚構のナラティブがあるからこそ、多くの人がともに協力することができる。
「人の集団」としての組織は、その虚構とは別次元で、「目の前に存在するその人」および「人の集まり」へと向き合うことだ。自分自身もその一人でもある。
組織づくりという行為が難しくなるのは、この「重なり」のところだ。「概念」に所属する(たとえば「社員」である)特定の「個人」が存在する。その「個人」の現実の言動によって「概念」としての組織も実体化する。
この重なりに論理的に明快な区分は存在せず、本人も、周囲も、ぼんやりとした境界線を「なんとなく」扱っている。人はそこまで「論理的」な存在でもない。
この曖昧さを扱うことは、形式知化されない身体感覚(身体知)としての側面がとても強い。
令三社/山田裕嗣
リサーチ
EPPO:権力ではなく“人”を軸にした会社再建
ブラジルのEPPOにおいて、10年前に父親の創業した会社にjoinしたロドリゴが、いかにして「泥臭い(Messy)」変革をしてきたか、というエピソード。Corporate Rebels Academyでは、動画インタビューのコンテンツも公開されていて、そこでの話を聞いていても「実直に、目の前のことに向き合い続けてきた」姿勢をとても感じる。
記事・イベント
【5/20】「いい組織」を増やすために、あえて企業買収をする挑戦〜Our Messy Joruney
「企業買収を通じた組織変革」
そんなラディカルなアイディアに実際に取り組んでいるKrisos、その立ち上げメンバーであるDunia。
決して机上の空論として買収を語るのではなく、2022年に1号案件としてIndaero(航空部品メーカー)を買収、2年掛けて実際に変容に取り組み、業績・給与・従業員満足など、実際に成果を上げている。
Krisosは、本質的には「再現可能な組織変革のモデルの実現」を目的としている。そして、2021年に立ち上げ、2022年に第1号案件となるスペインのIndaeroを買収。その後の2年間で、着実に企業価値を高めています。Duniaは、その組織変革の現場にも深く入り込んだ当事者です。「変革のモデル」としての可能性と次の挑戦、「実際に取り組んだリアリティ」の両面を語ってくれるでしょう。
企業経営の新しい潮流セミナー
天外伺朗さんの主催する天外塾において年1回登壇機会をいただくセミナーシリーズ。嘉村賢州さん、青野英明さん、長谷川博章さんとともに、それぞれの目線から見える「新しい企業経営の潮流」を提示していきます。
コンテンツ
組織の「3つの熱源」と「6つのタイプ」
組織には「達成」「所属」「体現」という異なる【3つの熱源】が存在する。この優先順位の組み合わせによって【6つのタイプ】に分けられる。2年前に40社くらいの企業インタビューを終えたときに、自分の実感を整理した取り組みだ。
この3つ(達成・所属・体現)に組織の根底の意図を分けることは、やはり非常に筋が良いように思う。どの組織も必ず3つすべてを持っている。しかし、組織の起点の意図(ソース原理で言えばイニシアチブを引き受けた瞬間)に立ち戻れば、そのうち1つに強い熱量がある。
その起点に立脚しながら「今」を見る。それだけで解釈の仕方が随分と整理される。
書籍
日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く
先日、松岡正剛氏の立ち上げた編集工学研究所に足を運ぶ機会があった。松岡氏は、昨年8月に惜しくも逝去された。しかし、本楼というその空間で開かれた場(もしくは座)には、氏の積み重ねた活動の厚みと熱量が確かに息づいていた。
手元にある色々な著作のうち、たまたま目についたこの一冊。「日本的」とは何か、それを企業経営にどう結びつけて捉えるか。松岡氏の活動の足跡はいつもこの問いに立ち返る引力を纏っている。