時代の変化、目の前の変化
おおよそ100年前、F.テイラーによって科学的管理法が誕生した。現場の作業を分解し、効率を最大化するために人を管理するという概念がうまれ、それが現在の「マネジメント」という役割の源流になっている。歴史的に見れば比較的新しい“技術”である。
2026年現在「AIによって人の仕事はどう変わるのか」という議論が喧しい。
いま起きている変化を眺めると、個人的には「マネジメント」という役割よりも、「経営者」(あるいは「オーナー」)を持つことがより広く求められているように見える。AIによって定型業務が最小化されていく中で、「管理」ではなく「何を生み出すか」の定義が相対的に重要になる。
ただし、ここから「マネジメントが不要になる」と考えるのは短絡的すぎるのだろう。冒頭に触れたように、現在の「マネジメント」すら、100年の歴史しかないものだ。人類全体の「組織運営技術」の発展として捉えるならば、分業と統制が中心だった時代から、自律と創発を中心とする時代には変化するようだ。
こうした時代の緩やかな変化において、相対的に言えば、ピラミッド型・管理型の組織よりも、ネットワーク型・自律型の組織のほうが適応には有利に働きそうだ。人の変化には時間がかかり、集団の変化にはさらに長い時間がかかる。たとえば中国のハイアールは、カリスマ的な創業者の強烈なリーダーシップを持ちながらも、マイクロエンタープライズの集合体に変わるまでに短く見ても7年掛かっている。
「AIによって人の仕事はどう変わるのか」という長期の見通しを持つことも当然重要だが、それ以上に、いま目の前で「どういう具体的な変化をするか」を同じだけの熱量で見なければ、いつまでも組織の適応は進まない。
令三社/山田裕嗣
リサーチ
アメリカ最大の従業員所有企業の魅力的な物語:SAIC
SAICのユニークさは、自律を単なる権限委譲ではなく、「分散構造・実験文化・成果責任」と一体で設計した点にある。小規模部門の独立運営と分裂による成長により、機動力と起業家精神を維持した。また従業員所有は、意思決定と成果の帰属を一致させ、社員のオーナーシップを生んだ中核要素だった。一方で、このモデルは思想とリーダーシップに依存し、維持が難しいという脆さも示している。
記事・イベント
「ZeroDX Awards 2026」応募企業募集開始
運営事務局を務める「人単合一リサーチセンター」として、年1回開催されるアワード(ZeroDXアワード)の募集を開始しました。昨年は26ヶ国95社(たしか)の応募があり、このアワードに現地参加すると各国の実践企業と直接話すこともできる貴重な機会です。ご関心がある方がいればぜひお気軽にご相談下さい。
自律型組織を改めて整理する
「旧来的ではない組織」「管理統制型ではない組織」「ピラミッド型ではない組織」。令三社が取り組む組織に共通する特徴は「◯◯ではない」という、否定形でしか表現できていなかった。今回、自分たちが取り組む組織の言語化を少しずつ始めてみました。
書籍
『センスメーキング イン オーガニゼーションズ』(カール・ワイク)
「行動と解釈を通じて現実に対する意味を作り続けるプロセス」とでも言えばよいだろうか。「組織づくり」というプロセスの言語化を試みていると、カール・ワイクのセンスメイキングに近づくことが多い。
この本を初めて買ったのは2017年らしい。1社目のスタートアップを辞めたあとに、自分が犯した数々の失敗を振り返りたくて、いろんな組織の本を読み漁っていた時期だ。未だにどれほどこの本のことが分かっているか分からない。一つだけ明確なのは、客観ではなく、主観もしくは間主観に基づいて複数の人が協力するプロセスが、組織づくりでは大事だと思っていることだ。


