今こそ「人」の組織を語る意義
「良い組織」とはなにか?
どのように「実践」するのか?
私自身のこれまでの仕事は、主にこの 2 つの問いを巡る探求と実践の繰り返しでした。
『すべては1人から始まる』 訳者まえがきより
2022年10月26日。その日に発売のソース原理の本は、こんな書き出しから始めた。
2022年11月30日。その直後、ChatGPTが公開。そこから今日に至るまで、「AIが人の仕事を奪う」「AIエージェントだけで会社が回る」から「超知能AIによって人類は滅ぶ」まで、AIにまつわる言説に触れない日はない。
「人の創造性」だけを語るソース原理と、「人を代替する」と恐れられるAI。これまでの3年半は、その両方が語られる世界線だったと思うと、なんとも不思議な気分にもなる。
この間、冒頭の「良い組織とは?」という問いの捉え方もずいぶん変わった。
経済的な合理性で言えば、人よりも安くて優秀なAIに仕事を頼まない理由がない。「ホワイトカラー不要論」のようなサムネイルが溢れ、「何が人に残された仕事か」の防衛戦を巡る議論にすら陥る。
これからは「人」の組織を語る意味は薄れる。
「人」よりも「AI」を中心に組織を語るべきだ。
そうしたナラティブの必然性も、十分に理解できる。
しかし、果たして本当にそうなるのか?
1940年代、当時IBM の会長だったトーマス・J・ワトソンが「コンピュータは世界で5台しか売れない」と発言したと言われる(諸説あるが)。かくも人の未来予測は当てにならない。逆張りをして勝ち筋を作れるビジネスにおいては尚更だ。
AIという強い道具が民主化された世界においては、「誰もがなんでも作れる」ようになる。そこではむしろ「何を作りたいか」を生み出せる、それを愚直に続けられるような「人」こそが重要になる。
これからは「人」こそが差別化を生み出せる唯一の要因だ。
かつてないほど「人」の重要性が高くなる。
こうした方向に結実する未来も十分に起こり得る。
「人の仕事が奪われる」から「人こそが差別化要因になる」までの両極端な世界線がある。現実がその間のどこに落ち着くのかは、世界中のどんな人にも、どんなAIにも、完全に予測することはできない。
だからこそ、現在の令三社のテーマは「人」の組織を追求することにある。
ひょっとすると、5年後には「人の組織なんて不要」になるかもしれない。その場合は、ビジネスシーンにおける「人」の組織を語る殿(しんがり)として、全力でその役割を全うすることに意味がある。
6月から「自律型組織づくり実践ゼミ」をパイロットで立ち上げるのも、根底の意識は共通する。AIによる恩恵は全力で享受することは大前提にしながら、今だからこそ、「人」の組織を扱う。
令三社/山田裕嗣
イベント・セミナー
自律型組織づくり実践ゼミ 第0期(パイロット版)
自律型組織という方向性を自社の現実に落とし込み、具体的な一歩を踏み出すために、何を考え、何を語り、どう動くのか?100社あれば100通りの組織があり、他社の事例をそのまま持ち込んでも、自社の文脈で機能するとは限らない。
本ゼミは、その問いに向き合うための「共通の枠組み」を提供し、参加者一人ひとりが自分の組織の「個別解」を見出すための場だ。全5回、定員12名。少人数で問いを深め合う、組織づくりの実践プログラムとして開催します。
コンテンツ
【特別インタビュー】ハイアールグループ創業者 張瑞敏氏
ハイアール社との提携に基づく「人単合一リサーチセンター」の活動の一環として、昨年来日した創業者 張瑞敏(チャン・ルエミン)氏に特別インタビューの機会をいただいた。
「人単合一とはなにか?」「経営におけるエコシステムとは?」「顧客とのゼロ距離とは?」「東洋と西洋の違いはどう感じるのか?」「経営者の役割はどう変わるのか?」など、様々な質問に丁寧に答えていただいています。
Youtubeに動画も公開していますので、ぜひそちらも合わせてご覧ください。
書籍
日本のために!世界一に挑戦する日本人の「誇り」と「あり方」
サッカーW杯開幕直前のこの時期に、日本代表監督の森保一氏と、『森のような経営』などの著書があり、スポーツドクターで、経営者で、教育者でもある山藤賢氏の対談が発売された。
幸運にも事前に原稿を読ませてもらう中で、森保監督にとって「日本らしさ」とは美徳や美談では決してなく、世界一を目指す上での戦略的な差別化要因である、という姿勢が一貫していた。また、対談相手の山藤さんには、令三社の事例シリーズでインタビューもさせてもらっている。
本書の発売に際して、本当に、色々なご苦労があったとも伺った。本書に携わる多くの方々の想いを、ぜひ手にとって感じてみてほしい。



