組織を取り巻く世界の変化
これまでに見てきた自律型組織は「インターネット的」だった。最近、そういう整理で捉えられそうに思っている。
そこには2つの含意がある。1つ目は、個のエンパワーメントを称揚するという思想的背景。インターネットという技術が分散化を促進したことに連動し、組織・職場において「個人の創造性を発揮する」「仕事によって自己表現をする」ことが促されていった。これは同時に、「変化に適応できる組織になる」という意味で、企業の経済合理性ともアラインする変化だった。
2つ目は、インターネット的な技術の変化が職場にも浸透したこと。クラウド、SaaS、Slackなどが職場環境を変えることで、分散化された情報の透明性の担保が可能になり、個人へのシフトが実現可能になった。2020-2022年頃のコロナ禍のリモート環境がさらにこれを加速した。
とても雑駁にまとめるならば、「インターネット的な技術変化」→「組織・働き方の変化」というのは、10年単位くらいで対比できる。
2000年代にインターネットの一般利用が闊達になっていた時代に、ハイアールの人単合一の提唱(2005年)、ビュートゾルフ創業(2006年)、ホラクラシー提唱(2007年)などの萌芽は芽生えている。
2010年代になると、『ティール組織』の原著の発売(2014年)、Googleがre:Workにて働き方のサイト公開(2015年)など、「組織・働き方をどう変えるか」という議論が社会的に活発になっていく。
さて、では、生成AI以後の組織論はどう変わっていくのか?もちろん、誰もここに答えは持っていない。
ある面ではAIは「個のエンパワーメントの急激な加速」であり、同時に、基盤モデルや計算資源などを巡っては一部の企業(さらには国家)における集権的な競争でもある。
企業と個人の関係としても、「人件費vsトークン費」の経済合理的な予算配分の問題とも言えるし、「企業の役割とは?」「人が働くとは?」さらには「人や社会のゆたかさとは?」といった哲学的な問いにまで発展する。
この15年ほど自律型組織のムーブメントを見てきた中で、そこで積み重なった社会的な知見や実体験は「管理されることなく行動、意思決定する」という「実行における自律性」のレイヤーと、そのさらに前提で、「私(たち)は何者か」「なぜこの組織は存在するのか」という「存在としての自律性」のレイヤーが、相互に連動して進化していたようにも思う。
AIによって社会がどう変わるかはよくわからないが、前者に関する変化は急速に起きていく。後者の「私(たち)は何者か」という問いにまで変化が及ぶのか。それはどの程度のインパクトで、どの程度のタイムラグがあるのか。
令三社/山田裕嗣
リサーチ
フォーティエンスコンサルティングと「SCエコシステム経営研究所」を設立
フォーティエンス社と共同で、自律分散と協創を軸に日本の製造業の未来を探るバーチャル研究組織「サプライチェーンエコシステム経営研究所」を設立しました。
フォーティエンス社のプレスリリースに詳しく記載があるように、企業インタビュー、定量データ分析、研究者とのディスカッションなど、幅広いアプローチで研究を深める予定です。
記事・イベント
【6/25木】inquiring futures #2「自律する組織を問い直す」
inquireが主催するイベントに呼んで頂き、「自律する組織」について、ツクルバの共同創業者でもあるウィルネクストの中村さんとお話する機会を頂きます。
このイベントページの文章にあるように、決して「知っていること」のダウンローディングをするのではなく、会場で一緒に「今なにを問うべきか」自体を考えられたら良いなと思います。
コンテンツ
ライバルを助けることで、あなたはより手強くなる(翻訳記事)
1997年にキヤノン名誉会長だった賀来龍三郎氏がハーバード・ビジネス・レビューに寄稿した「共生の道」という論文において、「共生」を5段階(経済的な自立 → 社員との協力 → 社外との協力 → グローバルな関与 → 政府とのパートナーシップ)で整理しています。




