組織の6つのタイプ
「達成」「所属」「体現」。
組織が根底に持つ熱量の源は、大別するとこの3つになるのではないか、ということを、3年前に整理したことがある。当初は35社ほどのインタビューを終えた段階での仮説だったが、この区分は、今でもかなり便利に活用している。
3つは以下のように定義した。
達成(Achievement):共通の目的・目標を実現すること
所属(Belonging):同じ共同体への所属意識を持つこと
体現(Embodiment):共通の価値観を大切にする実感を持つこと
どんな組織も必ず3つを併せ持っている。ただし、その優先順位や比率が違う。これを組み合わせてみると6パターンに便宜的に分けることが出来る。
これを判定するために、30問の質問リストも試作したことがある。3つの熱源を組み合わせ、「達成vs体現」「体現vs所属」「所属vs達成」を10通りで比較しつつ、3つの優先順位を明確にできるようにしたものだ。
それなりの精度で、6タイプの仮説が出せる(正確には3つの熱源の強弱の序列が出せる)
この分類は、これ「だけ」ではあまり深い意味はない。ただ、これが便利なのは、「議論のスタート地点」にできることだ。
「うちは6タイプのうちどれだと思う?」
「明らかに達成は弱いよね」
「私は体現よりも所属が強い印象だった」
など、とりあえず「語る」ことのきっかけになりやすい。そのうえで、組織全体の一貫性を長い時間軸で醸成するうえで、何にフォーカスするかを議論の遡上に上げられる。
こうした「判定」だけならば、過去の様々なデータを抽出し、片っ端からAIに投げ込めば、極めて精度高くアウトプットされるようになっていく。そうした世界に近づく中では、少なくとも「人」の組織づくりに取り組む中では、その「議論のプロセス」、さらに詳しくいえば「議論を通じて人の認識が揃うプロセス」にこそ価値が宿るのではないか。
今後、こうした「情報量の適切な集約」と「それを起点としたプロセス」の意味はますます高くなりそうだ。
令三社/山田裕嗣
記事・イベント
【8/3@東京】AI時代のサプライチェーン マネジメントのあり方とは?ー経営、人・組織、事業、テクノロジーの観点から問うー
SCM(サプライチェーンマネジメント)と題されるイベントながら、名和高司先生が登壇し、「AIエージェント」「知識創造型SCM」「Agent Ready」「自律型組織」など、テクノロジーからも人・組織からも、これからの経営のあり方を考えるユニークな機会です。
書籍
『<責任>の生成ー中動態と当事者研究』
哲学者の國分功一郎先生と、当事者研究で有名な熊谷晋一郎先生。お二人の連続講義を通じて、「暇と退屈の倫理学」「中動態の世界」と「当事者研究」の関連性が読み解かれていく。
話し言葉で一見すると読みやすいものの、その中身は中動態や当事者研究の説明であり、そこで参照される哲学者(ハイデッガー、スピノザ、パスカル、フロイト、デカルト等々)が続々と登場。タイトルにもあるように「責任」をどう捉えるのか、ということが1つの論点にもなっていく。
個人的に、本書を手に取ったことは、「自律型組織」を日本の文脈からどのように再解釈するのか、という問題意識と繋がっている。自律型組織を語るときに、「個人」が「役割」の「責任」を担うことで分散化できる、というのは、ある面では筋が良い。しかし、それが本質的に妥当なのか。
「中動態」はもともとが西洋の言語学に関する内容であり、それを國分先生が再解釈したもの。一方の「当事者研究」は、ルーツは北海道の「べてるの家」にあり、英語圏でもtojisha-kenkyuのまま使われることもある。文化圏を越えて考えるうえで、こうしたキーワードは改めて意味を持ちうる。




